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パジャマをこよなく愛する漁民達の村がある。東南アジアで最大のクジラの骨が展示されている施設「バントゥイトゥー」のある東南部ビントゥアン省ファンティエット市のドゥックタン地区だ。この村では、パジャマは寝る時だけではなく立派な外出着としても利用されている。
茶色のパジャマを着た78歳の漁師グエン・ビエンさんが網の手入れをしながら語ってくれた話によると、子供の頃からずっとパジャマを着続けており一度も別の洋服を着た事がないという。寝る時も漁に行く時も、法事も結納もパジャマで済ませる。
「パジャマはゆったりしていて、ゴムバンドなので楽チンだ。一色のパジャマなら、ご先祖様に線香を手向ける時だって失礼にはあたらない」とビエンさん。「海の民はすばやく動ける事を好む。溺れている人を見かけた時、パジャマだったらパッと脱いで助ける事だってできる」
ビエンさんは、30歳過ぎの時にパジャマのおかげで命拾いをしたという話も披露してくれた。沖合いで漁をしていた時に船が沈没し、仲間7人と共に海に投げ出された。その時、着ていたパジャマを棒に結んで旗を作った。生地が薄くて乾きやすいパジャマが風にはためいてくれたおかげで、僚船に発見されて全員生還する事ができたという。