[特集]
パジャマをこよなく愛する漁民達の村
2011/12/25 08:40 JST更新
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パジャマをこよなく愛する漁民達の村がある。東南アジアで最大のクジラの骨が展示されている施設「バントゥイトゥー」のある東南部ビントゥアン省ファンティエット市のドゥックタン地区だ。この村では、パジャマは寝る時だけではなく立派な外出着としても利用されている。
茶色のパジャマを着た78歳の漁師グエン・ビエンさんが網の手入れをしながら語ってくれた話によると、子供の頃からずっとパジャマを着続けており一度も別の洋服を着た事がないという。寝る時も漁に行く時も、法事も結納もパジャマで済ませる。
「パジャマはゆったりしていて、ゴムバンドなので楽チンだ。一色のパジャマなら、ご先祖様に線香を手向ける時だって失礼にはあたらない」とビエンさん。「海の民はすばやく動ける事を好む。溺れている人を見かけた時、パジャマだったらパッと脱いで助ける事だってできる」
ビエンさんは、30歳過ぎの時にパジャマのおかげで命拾いをしたという話も披露してくれた。沖合いで漁をしていた時に船が沈没し、仲間7人と共に海に投げ出された。その時、着ていたパジャマを棒に結んで旗を作った。生地が薄くて乾きやすいパジャマが風にはためいてくれたおかげで、僚船に発見されて全員生還する事ができたという。
フンロン地区に住む漁師のグエン・エムさんとゴ・バン・ニョイさんもパジャマ愛好者だ。楽チンなだけではなく、便利でお金の節約にもなるからという。2人はベランダに座ってお茶を飲む事が多い。普通のズボンだったらすぐにお尻の布が擦り切れてしまうが、「パジャマだったら前後逆にしても使える」とエムさん。そのため、パジャマを仕立てる時には、ズボンにはポケットを付けないよう注文しているそうだ。
エムさんもニョイさんも、パジャマの仕立てにはこだわりがある。海の民の大半はパンツを含め下着というものを身に付けないため、ヘタな仕立てだと着心地が悪く、大事な部分が顔を出してしまう恐れがあるという。
ファンテイエットの港の近くには、パジャマの仕立て40年以上という女性グエン・ティ・ホア・ダオさんがいる。看板を出してもいないのに、地元の漁民ばかりでなく、評判を聞きつけた別の村の漁民も寄港した際に注文していく。ダオさんは、助手5人を抱えていても注文を裁ききれない時代もあったと振り返り、「最近は既製服や古着のパジャマが大量に出回っていて、仕立てに来るのは50代以上の人だけになった」と語った。
[Tuoi tre online, 10/12/2011, 08:36 (GMT+7), O ]
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