(C) Dan Tri 写真の拡大 |
障害があるためドロエンは一日中、家の中や庭で遊んでいた。両親が畑仕事で家を出ているときは、自分のことは自分でやり、家畜の世話もした。ある日ドロエンは、自分も学校に行きたいと言って、両親を驚かせた。ヨアンは考え抜いた挙句、息子を小学校へ行かせることにした。嬉しさと不安がないまぜだったが、ドロエンは手足この無いものの頭は聡明だった。ヨアンは村の小学校に頼み込んで、何とか一年生のクラスに入れてもらえることになった。
こうして、ドロエンは小学生になった。学校に入ると、ドロエンの生活は一変した。手が無いので、腕の先で鉛筆をつまみ一生懸命に文字を書く練習をした。足が無いので、地面に体を投げつけるようにして、数キロの通学路を往復した。そんなドロエンの姿を見て、クラスメートも先生も村中の人間が彼を受け入れるようになっていった。
「息子は以前、周りの目を気にして人と接するのも苦手でした。でも、今では大勢の友達ができて、読み書きも計算もできるようになりました。」ヨアンは嬉しそうに語った。今年ドロエンは中学2年生になる。成績も極めて優秀、特に数学と美術の才能は先生のお墨付きだ。彼は毎朝、地面を這って通学している。村の古いしきたりを乗り越えて生きる彼を村人達は奇跡であると言う。