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海外で暮らすベトナム人(越僑)のうち、高齢者の数がかなり増えてきている。彼らの多くは、人生の終わりを迎える場所として両親や祖先の墓のある故郷ベトナムへの帰国を希望している。しかし誰もがベトナムで暮らす家を入手できるわけではない。多くの越僑高齢者は、ベトナムの老人ホームに入居することを望んでいる。
西洋では、高齢になっても子供と同じ家には住まず別に家に住むか、または老人ホームに入るのが普通で、老人ホームも昔から存在する。ベトナムにも老人ホームはあるにはあるが、まだ普及しているとは言い難い。子供が老いた親と一緒に住んで面倒を見ることが、ベトナムの伝統的文化であり、子供としての責任や道徳に適うと世間からもみられているためだ。
フランス国立科学研究センター元職員のブー・クアン・キン教授は、これまでにベトナムのいくつかの老人ホームを訪問したという。「ブンタウ市(東南部バリア・ブンタウ省)にはホテルを改装した老人ホームがあるが、費用がとても高い。ホーチミン市クチ郡のバートゥオン老人ホームは面積が6.5ヘクタール、部屋が約120室ある。施設やサービスも整っており、生活費もそれほど高くない。ただ、市街地からはかなり離れている」。キン教授が理想的な老人ホームとして挙げる条件は、ホーチミン市、ハノイ市、ニャチャン市(南中部カインホア省)、ブンタウ市などの市街地から5~10キロメートル程度の距離に位置していることだ。
ベトナムの社会は高齢化の途上にあり、現在は高齢者人口が全体の17%を占めている。近い将来、十分な条件を備えた老人ホームが必要になることは確実だとみられている。ベルギーで20年間建築家として暮らしているファム・ミン・ニュット氏は「同じ考えを持つ人たちと共に、ベトナムに老人ホームを建設したいと願っている。ベトナムの高齢者たちもいずれホームに入ることになるだろう。越僑高齢者たちが力を合わせて、近代的な老人ホームを作れればいいと思う」と話した。
高級老人ホームの数が増えれば、入居する越僑高齢者の数も増える。キン教授によると、これはベトナム経済にとって利益になるほか、ホームに入居した越僑高齢者を訪問するために家族がベトナムを訪れ、自らの祖国を理解する機会にもなるという。イタリア在住の医師グエン・ヒュー・トン氏も、「病気を患った越僑高齢者は故郷での療養を望んでいる」として、彼らを受け入れる政策の導入を期待していると語った。