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- 釣り見物中眠り込み、増水で身動き取れず
- 救助隊と地元住民で救出、1時間で完了
- 体調は徐々に安定、会話ができるまで回復
南中部高原地方ザライ省マンヤン郡警察は25日午後、増水した川で行方が分からなくなっていた若者を、8日ぶりに救出したことを発表した。
ダックドア郡クダン村に住むファム・ミン・タンさん(男性・20歳)は、9月17日にアユン川で行方不明となった。
タンさんは17日、自宅から別の村へとバイクで移動し、バイクを質入れして100万VND(約6000円)を手にした後、5km先の橋近くまでバスに乗り、アユン川の岩場で釣りをする2人を見物していた。
釣りを見物している間に眠り込んでしまったタンさん。目覚めたときには水が押し寄せており、釣り人たちも既に帰っていた。幸運にも川の中の木にしがみついたが、激しい雨と増水で、木から降りることも、岸に戻ることもできなくなった。
警察は24日14時ごろに通報を受け現場に急行し、救出計画を立てた。
しかしタンさんは川の真ん中の木の上におり、川の流れの速さや、周辺に木々が生い茂っていたこともあり、救助は困難を極めた。救助隊が声をかけても、被害者は声を出すこともできないほど体力を消耗していた。
当初は、地域警察の力だけでは救出不可能に思われたため、省に応援を要請する方針だったが、川の状況に詳しい地元住民が接近できる位置を警察に教え、そこから救助隊がロープで体を縛って泳いで近づき、タンさんにライフジャケットを着せて、岸にいる人々と協力して救出した。救出作業は、1時間ほどで完了した。
接触した時点でタンさんは、長時間にわたる低体温で手足は動かず、口もきけず衰弱していた。あと少しでも救出が遅れていれば、生命に危険があった。岸に引き上げた後、救助隊は応急処置を施し、体を温め、牛乳を飲ませて体力を回復させた。
救出後、地域医療センターで1日の治療を受けたタンさんの体調は徐々に安定し、まだ衰弱しているものの、会話ができるまでに回復した。
川で立ち往生した日々についてタンさんは、「近くの橋を行き交う人を見るたびに助けを求めて叫びましたが、誰も気づきませんでした。何度も叫び続けるうちに力尽き、もう帰れないかもしれないと朦朧とした意識の中で思っていました」と話した。
食べ物はなく、川の水を飲んでしのぎ、意識が朦朧とすることも多かったという。増水した時に意識をはっと取り戻し、その度に木にしがみつき、足を冷たい水に浸したまま、何とか水没しないようにしていたそうだ。