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西北部地方イエンバイ省を訪れた観光客は、山岳に暮らすザオ(Dao)族、タイー(Tay)族、タイ(Thay)族などの少数民族の伝統料理を堪能することができる。中でも一度食べたら忘れられないのは、ムーカンチャイ郡のご当地グルメ「アリ卵おこわ(Xoi trung kien)」だ。
おこわ自体はベトナム全国でお馴染みの食べ物だが、使用する食材やトッピングは地域によって特色がある。南中部高原地方コントゥム省では、タケノコ入りのおこわ。西北部地方では、色鮮やかな五色のおこわが有名。イエンバイ省に住むザオ族、タイー族、タイ族のおこわは、アリの卵を使った非常にユニークなもの。
アリの卵は栄養価が高いことで知られており、滋養強壮にも効果がある。イエンバイ省には、おこわ以外にもアリの卵を使ったメニューが豊富にある。「アリ卵おこわ」で重要なのは言わずもがなクロアリの卵。旧暦の2月と3月がクロアリ卵の旬の時期だという。
この時期になると、人々は森で材料を探す。しかし、美味しい卵を手に入れたいなら、晴れの日を待つ必要がある。アリの卵をとるのは通常、男性の役目。持ち帰った卵を調理するのは女性の役目だ。アリの卵は、手作業で丁寧にごみを取り除き、ぬるめの水に浸して優しくかき混ぜた後、水洗いして、しっかり水を切り、しばらく置いておく。その後、味付けして、鶏油で揚げたネギやラッキョウと和えて炒めると、食欲をそそる香りに仕上がる。
「アリ卵おこわ」と焼いた干し魚を、ライムを絞ったトウガラシ入りの塩につけて食べるのがイエンバイ省スタイル。同省を訪れた際には、ぜひ一度お試しあれ。