(C)Dan Tri |
仏AFP通信がハノイ市で開かれている「別れた恋人の記念品市」を取り上げたことから話題を呼び、その他の海外紙もAFP通信の記事を転載し、この珍しい市場が注目を集めている。「別れた恋人の記念品市」は、今年2月の初回以降、月に1回定期開催されている。
訪れる人は他人の恋愛模様に好奇心を抱いて足を運んでいる人がほとんどで、売られているのはラブレターや手作りのポストカード、使いかけの香水、アロマキャンドル、ファッションアイテムなど多岐にわたる。出品されている品物は、持ち主がただ使わなくなった物を売るというほかに、過ぎ去った恋の思い出を断ち切り前進するために手放すことを決意した品々なのだ。
この市場の発案者であるタンさん自身も苦い失恋を経験し、思い出の詰まった品々を目にするといたたまれない気持ちになりつつも品々の処理に困り、売りに出すことを思いついた。タンさんもラブレターやカード、恋人がタンさんへの思いを綴ったノートなど、自身の思い出の品を陳列し、商品を前にギターの弾き語りをしている。
「今の若い人たちはとてもオープンで、失恋の痛みを1人で耐えるのではなく多くの人と分かち合いたいんです」とタンさん。ソーシャルネット・ワーキング・サービス(SNS)の影響もあり、市場の規模は拡大を続けている。
市場の一角には掲示板があり、訪れた人は返事をくれることがないであろう別れた恋人宛てに思いの丈を書いて貼ることができる。また、この市場は他人の記念品を眺め気に入った品を買うほかに、新たな出会いの場にもなっているという。
タンさんは来年にもホーチミン市でこの「別れた恋人の記念品市」を開催する予定だ。