1件の遺産を複数で管理するということは、遺産に何か問題が生じても各管理組織は問題を処理する権利を有さないことと同じだ。管理が統一されていないことにより、遺産を管理する各組織と当局との間に管理規定や収入源の使用などで様々な問題が生じ得る。
(C) VIETJO, フエの建造物群 |
(C) VIETJO, ホイアンの古い町並み |
(C) VIETJO, ミーソン聖域 |
(C) VIETJO, ハロン湾 |
しかし、ミクロレベルで見ると、遺跡の所在する地域は独占的に自らの意に沿って遺産を開発することができるとも言える。
遺産を効果的に保存・活用するには
遺産保存の専門家らは、各世界遺産にはそれぞれ特徴があり、管理・運営における統一性や管理・保存・活用における規制が必要だとしている。
具体的な事例として、ベトナムの遺産のほとんどに保存と活用などに関する全体計画が設定されている。しかし同時に、管理・保存規制が不足しており均一でないため、各遺産の管理組織はそれぞれ異なる方法で適切でない管理・保存を行っている。
こうした現状を踏まえて、文化スポーツ観光省は、地域の遺産管理活動に有利な条件を整えるため、各組織との協力規則を早急に構築し、また政府や地域、企業、住民の間の協力と繋がりを強化していかなければならない。
ベトナムは今、「遺産のあるところに利益がある」という考えを捨てなければならない時に来ている。遺産はベトナムの祖先が子孫のために残した「皆の」ものであり、「保存すべき」ものであると考えなければならないのだ。