ラムさんによると、1980年代はこの仕事に対する批判が多く、周囲の人たちや親しい人たちでさえも嫌悪していたという。誰も彼に近付こうとせず、誰も彼と話そうとしない。彼は別世界から来た「不潔」な人間と見なされていたのだ。しかし、2000年以降になると人々の考えは変わり始め、遺体処置の仕事に対する悪いイメージも消えていった。
(C) vnexpress, Le Nga, ハノイ医科大学の遺体安置室 |
(C) vnexpress, Le Nga, ラムさん |
この職業に就いているがために、ラムさんにはまだ妻子がいない。たくさんの恋愛を経験してきたが、どの女性も彼の仕事を知ると去って行ってしまった。「あまり深くは考えていません。彼女たちが私の仕事を尊重できなかったということは、私への愛もそこまで深くなかったという証拠ですから」とラムさんは言う。
テト(旧正月)や重要な機会には、献体を希望した人たちの家族が遺体を訪ねに来る。夫に会いに来る妻もいれば、父親に会いに来る子供もいる。それ以外の日には、ラムさんが家族の代わりに周りを掃除し、ここに眠る多くの遺体に線香を手向けている。
ラムさんは今後もこの仕事と科学研究に貢献していくつもりだ。そして、結婚もしたいと考えている。ラムさんは、自分を理解し、この仕事を尊重し、心から愛してくれる女性に出会える日を待ち望んでいる。