川の底に沈んだまま行方不明になっている遺体を捜すことを「家業」にしている一家がいる。北中部トゥアティエン・フエ省フーバン郡フーマウ村で暮らすグエン・バン・チーさん、グエン・バン・セットさん、グエン・バン・ネットさんの3兄弟だ。
(C)Laoo dong,Dang Khoa、グエン・バン・セットさん |
セットさん(54歳)によると、これは祖父の代から3代続く家業で、これまでにどれだけの遺体を引き揚げて、遺族に引き渡したか数え切れないという。家業とはいってもボランティアで、賃金を要求したことはないというから驚きだ。
セットさんの一家は船上生活者で、100年近くにわたってずっとフオン川の上で暮らし、漁業、渡し舟、シクロ、リヤカー引きなど様々な仕事をしてきた。祖父の代から船上生活をしていたが、昨年政府から今住んでいる場所を定住地として支給されて、船上生活に別れを告げた。
遺体捜しは、船上での生活と深く関わっている。セットさん達3兄弟は10代の頃から水泳や潜水が得意だった。父親のグエン・バン・ホアンさんは遺体捜しに出かける度に、子供達に手伝いをさせた。初めのうちは船の操作や発見した遺体の陸への運搬をさせ、慣れた後にようやく潜ることを許してくれた。