ハノイ市ソックソン郡タインスアン村ドイコック集落に住むグエン・ティ・二エムさんは、2006年のある日、病院で我が子を「捨てに行く」母親を見て、不幸な子供たちのために何かしなければと思った。その日から10年間、二エムさんはあちらこちらから胎児の亡骸を連れて帰っては埋葬している。
(C) Dan tri |
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お腹を痛めて我が子を出産した時のことを忘れる母親などこの世にいないだろう。しかし、二エムさんが忘れられないのは、何の罪もない赤ん坊がこの世で産声を上げる前に亡くなった日のことだ。「出産を控えた身内の子を病院へ連れて行った日のことです。妊娠6か月ほどのお腹の子を中絶しに来ていた女の子を見かけたんです。私は彼女に、赤ん坊は貴女の全てだと言いました」。
二エムさんは見ず知らずの少女に夜通し付き添い諭したが、少女の決意を変えることはできなかった。普通は出産後は誰もが喜びを感じるものだが、あの時赤ん坊が「出てきた」時は身の毛がよだったと二エムさんはその日の出来事を振り返る。それから二エムさんは水子供養をするようになった。