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「祖父母から引き継いだ家業を守りたくてこの仕事を続けていますが、誰もこの仕事を継ぎたがりません。私たちの世代がいなくなったら、この伝統的な仕事も消えゆくでしょう。若い世代はこの仕事を、埃まみれで重労働な上に収入も低い、とけなすんです。私の子どもや孫すらも継いでくれませんでした」とアインさんは打ち明ける。
アインさんの工房でほうき職人をしているチャン・タイン・ホアンさん(男性)も、アインさんと同じ気持ちでいる。ホアンさんは過去に若い職人たちに仕事を教えたこともあるが、しばらくすると皆、別の仕事を探すために辞めてしまったのだという。
タインさん夫婦も、体力が続く限りこの仕事を続けようと奮闘している。しかしながら、タインさんは、この伝統的なほうき作りの仕事が廃れていくのは避けられないと認めている。
「この仕事は、年初から年末にかけてはほとんど需要がなく、実際に収入になるのはテト(旧正月)が近付いた時期の数日間だけです。さらに雨季は作業がほぼできず、普段は私たちのような家ではある程度の数しか作れません。輸出用のほうきを作れる家もありますが、数はとても少ないんです。苦労が多く、不安定で収入も良くないこの仕事を若者が継ぎたがらないのも当然でしょう」とタインさん。
「この仕事は、今や高齢者向けの仕事と言えます。私の家も、我々老夫婦だけがこの仕事を続けているんです。私がこの仕事を続けている理由は、幼い頃から続けていて慣れているということもありますが、できる限りこの伝統的な家業を守っていきたいからです。だから、たとえ腰が痛くても目がかゆくても、夫婦で何とか頑張っていきたいと思っています」とタインさんは語った。