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バンさんはコンテストに出場することで、自分がネガティブな思考から抜け出し、コミュニティに溶け込み、自分と同じような状況にある人々にポジティブなパワーを伝えたいと思っていた。バンさん自身、これほど大きな賞を手にすることになるとは予想もしていなかった。そしてこれは、バンさんがより自信を持てるようになったターニングポイントにもなった。
バンさんは、日々多くの人々と出会い、コミュニティに溶け込む機会ができたことで、自分自身が成長していっていることに気づいた。そして、そのポジティブな考えを自分と同じような状況にある人々に伝えていった。
現在、バンさんは交通事故により恵まれない状況にある子供たちのための奨学金基金である「モッタイナイ」の大使を務めている。また、障がいを持つ人々のための様々なプロジェクトに携わっているほか、個人でも障がい者をサポートするプロジェクトをいくつも進めている。
バンさんにとって、こうした活動は意義と愛に満ちた旅だ。活動を通じて、困難な状況にある人々とたくさん出会ってきた。障がいのせいで自信を失い、向上心を持てなくなっている人もいる。バンさんは、自分自身の経験を活かして、人生における愛とエネルギーを伝えるべく全力を尽くしている。
「今でもずっと心に残っているのは、ビンフック省(北部紅河デルタ地方)から来たという少年に出会ったときのことです。彼は事故に遭って両脚の膝下を切断しました。彼は私に、どうしてそんなに自信を持つことができるのかとたずねました。その質問が、私の記憶に触れたんです。私は彼にこう答えました。『私は私らしく、私の人生を生きているからよ。私は自分の欠点も愛しているし、自分自身のことも愛しているの。自分の身体の欠点を受け入れ、他人の否定的な見方を気にしないでいられるようになれば、自信が生まれるから。両親のために、家族のために、そして自分のために生きるのよ。それが大事なことよ』」。
その会話の後、少年と少年の母親は抱き合い、感極まって泣いていた。そしてその日、少年は少し自信が持てたようで、他の人たちとオープンに話せるようになっていたという。
「私に新しい人生を与えてくれた、ターニングポイントに感謝しています。私はそれによって、考え方が変わりました。それは、自分自身がどうであるかが大切なのではなく、生きている間に最も美しく、最も意義のあることをできたかどうかが大切だということです」と、バンさんは話した。