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アインさんは、自分たちきょうだいを養うためのお金を稼いでくれる祖父母を手伝って、11歳のときからバインセオを焼いて売っている。父親は8年ほど前に亡くなり、その後に母親は事情があって家を出て行ってしまった。
幼いころに両親との別れを経験し、弟妹2人の支えとなり、自立して生活してきたアインさんは、実際の年齢よりも強く、大人びている。
故郷の南部メコンデルタ地方ティエンザン省で孤児となったアインさんたち3人は、ホーチミン市に暮らす祖父母から仕送りをもらいながら、互いに助け合って故郷で暮らしていた。
今から2年前、祖母のチュオン・ティ・キム・ニさんは、3人をホーチミン市に呼び寄せ、祖父母と孫で一緒に暮らすようになった。
ホーチミン市のバインセオ店は、祖父母が10年余り前にオープンしたものだ。別々に暮らしていたころ、祖母のニさんは、孫たちに負担がかかることのないよう一生懸命に働き、仕送りをしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で日に日に損失が増え、ニさんは店を閉めるしかないと考えた。
家庭の経済状況はいよいよ行き詰まり、ニさんは涙を飲んで、3人の孫に故郷の学校を中退させ、荷物をまとめさせてホーチミン市に呼び寄せたのだった。きれいな服を着て両親に学校に連れて行ってもらっている他の子供たちを見るにつけ、ニさんは孫たちを想い、涙を流した。
ニさんは何度も孫たちをまた学校に通わせたいと考えたが、十分なお金がなく、この願いは保留にせざるを得なかった。ニさんによれば、多くの人が孫たちに数億VND(1億VND=約60万円)の寄付を申し出たものの、全て断ったのだという。