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先生は、カインさんを教える際には普通の生徒の5~10倍もの時間を要する。それでも、カインさんは決意が固く、粘り強い上にあらゆる問題においても機転がきき、音楽的な感覚も優れているため、先生たちも忍耐強くサポートしている。
音楽院に入学してからというもの、カインさんは高校で一般科目を勉強し、午後には先生の自宅でピアノの専門科目を学ぶという忙しい日々を過ごしている。カインさんのような音楽院の生徒のほとんどは、文化強化カリキュラムを学ぶことを選択するが、カインさんは高校に通うことを選んだ。ただし、高校で学ぶということは、より時間がかかり、より厳しい道でもある。
カインさんは高校で、ノートに点字を書く代わりにパソコンを持ち込むことを先生たちに許可してもらっている。カインさんは、ピアノを弾くときと同じように、勉強においても難しいところに直面するとストレスを感じることがよくある。そんなときは歌を歌って気持ちを和らげている。
それから、カインさんは「10分ルール」を自ら設けている。何か嫌なことがあったり、ストレスを感じたりしても、10分以内に楽しく前向きな気持ちになるように自分をコントロールするのだ。もしも感情のバランスが崩れてしまったら、諦めてその日は勉強をやめ、翌日にまた取り組むようにしている。
エジソン高校でカインさんの担任を務めるチン・ビエット・ハオさんによると、カインさんは授業中にとても集中して先生の話を聞いており、文章に関する分野は得意だが、図形など視覚を要する分野はやはり難しいという。しかし、カインさんが独自の方法で蓄積してきた知識の量に、先生たちも驚くばかりだそうだ。
クラスメイトもまた、カインさんの記憶力、特に一度誰かの手を握ったら、次に握ったときにはそれが誰だかわかるという能力を絶賛している。
普通の生徒と同じように、入学試験で数学、文学(国語)、英語の3科目を受験して高校に合格したカインさんは、100%の奨学金の給付を受けている。
カインさんの一番好きな歌は、音楽家のファム・ミン・トゥアン氏の「Khat Vong」だ。この歌詞は、カインさんにとっての道しるべであり、あらゆる困難を乗り越え、夢を諦めないことを思い出させてくれるという。