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「1年と少し前から、自分は同性愛者なんじゃないかと思っていたんです。女性じゃなくて男性が好きだったんですが、確信がありませんでした。だから、(ニーさんへの感情も)一時的なものだと思ったんです」とトムさんは話す。
そんなトムさんに対してニーさんは、トムさんの部屋を訪ねては質問をしたり愛を伝えたりし、頼まれずともごはんを作ったり洗濯をしたりしてアピールした。そして2人は、自分が自分でなかったころに同じように別れを経験したことを知り、より共感するようになった。
ニーさんのアタックで、トムさんもニーさんのことが気になるようになった。トムさんは、よくしゃべりよく笑うニーさんのおかげで、静かだった自分の人生が突然生き生きと生まれ変わったように感じた。
さらにトムさんは、会社でのニーさんは自分の仕事をこなすだけでなく、他の従業員がスケジュールに間に合うように手伝っていることを知った。「毎日、彼は僕の部屋に来ては恋人のようにあれこれ世話を焼いてくれたんです」と、トムさんはニーさんにひかれた理由、そして自分の本当の性別に確信を持った理由を語る。
知り合ってから2週間後、トムさんは、自分はニーさんのことが好きなのだと認めた。お互いの唇が触れた瞬間、2人とも「身体に電流が走った」ような感覚だったという。
2か月後、2人は同棲を始めた。朝はニーさんが料理を、トムさんが皿洗いと掃除を担当し、夜は他のカップルと同じように手をつないで散歩したりごはんを食べたりしに出かけた。
それから間もなくして、ニーさんは家族に、男性と結婚すると告げた。両親は冗談だと思い、ただ笑って「おまえが幸せなら、誰と結婚したっていい」と言った。ニーさんがトムさんを実家に連れてきたときもまだ、ニーさんの両親はトムさんのことを息子の友達だと思っていた。
そして、2人が結婚を決めたとき、両親は大きなショックを受け、落ち着かない様子だった。「男が男と結婚するなんて聞いたことがない。まさか自分の息子がそんなことをするなんて信じられるわけがない。親戚や村の人たちにも笑われるぞ」と父親は言い放った。
ニーさんの兄姉たちも、末っ子が男性と結婚することに反対した。それでも、ニーさんは両親と兄姉たちに、幸せになるから自分の選択を信じてほしい、と伝えた。「お父さんもお母さんも、『僕が幸せなら、誰と結婚したっていい』と言ったじゃないか」とも。