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ビーちゃんの状況を知った16街区の代表者は、その年の9月にチュオンさんがビーちゃんを一時的に養子として受け入れ、ビーちゃんが公立の幼稚園に通い、子どもの権利を享受できるよう、出生証明書を発行する手続きをサポートした。
こうしてビーちゃんは街区の公立幼稚園に通うようになったが、2か月後に再び体調を崩して幼稚園に行けなくなってしまった。元気になったころにはすでに小学校の入学申し込み期限を過ぎていたため、チュオンさんはひとまず、近所に住んでいる教師の家でビーちゃんに勉強させることにし、毎月50万VND(約2800円)を支払っている。「近々、ビーが正式に小学校に通えるよう、書類を出すつもりです」とチュオンさんは話す。
ビーちゃんは今、8歳になった。チュオンさん夫妻は1日中外でバインセオを売り、ビーちゃんは家事を手伝っている。ルオンさんによると、ビーちゃんは状況を理解しているらしく、とても良い子で何かを欲しがることもなく、自分のことは自分でやるのだという。
事情を知らない人が、何度かビーちゃんに母親についてたずねたことがあるが、ビーちゃんは「お母さんは死んじゃったの」とだけ答え、うつむいてそれ以上何も言わなかった。ビーちゃんの気持ちを悟ったルオンさんは、ビーちゃんが悲しい思いをしないよう、周りの人たちに「ビーに母親のことをたずねないように」と伝えた。
最近、ルオンさんは脳卒中を起こし、以来しょっちゅう風邪をひくようになってしまい、自宅で過ごすことが多くなった。バインセオの屋台は夫に任せている。息子は仕事が忙しくめったに帰省せず、娘も幼い2児の育児で忙しい。そんな中、老夫婦のことが大好きなビーちゃんは、あれこれと家事を手伝っている。
ビーちゃんの将来について聞かれたチュオンさん夫妻は、自分たちはもう年老いていて長くは生きられず、甘い考えは持っていないが、ただただビーちゃんがしっかりと教育を受け、その先により明るい未来が訪れることだけを願っている、と答えた。「私たちがいなくなったら、子供たちがビーの世話をすることになるんでしょうね」と、ルオンさんは涙を目に浮かべて語った。