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過去には、韓国人と結婚したベトナム人女性を教えたこともあり、その人は今、ベトナム語の練習のためにと娘にオンラインで習わせている。76歳の生徒は、足が悪いもののバスで教室に通ってきている。
「地方出身だったり、故郷から遠い場所で働いている人ほど、歌を練習したいというニーズがあるように感じます。淋しさを紛らわせたかったり、家族や故郷に想いを馳せたい気持ちが強かったりするからでしょうか」とゴックさん。
ハノイ市には現在、このような歌の教室が数十か所ある。ゴックさんの教室も、コロナ禍のスタートだったものの、すでに2か所に教室を拡大し、平日を含めて教室のスケジュールにもほとんど空きがないという。2022年の申し込み数は4000人、うち70%が歌の生徒だ。
ハノイ市バーディン区で7年にわたって声楽教室を営むフオンさん(女性)の教室では、多い時には1日35人を教え、年間の生徒は約1000人を数える。彼女の教室は主に、オフィスで働く人や企業の管理職、経営者、公務員をターゲットにしているが、このようなブームについて彼女は、生活水準が高まり、人々に様々な娯楽や、自己研鑽のニーズが出てきたためではないかと見ている。
こういった歌の教室の学費は、グループレッスンかマンツーマンか、むろん教室によって異なるものの、おおむね1コース200万~500万VND(約1万1000~2万8000円)で、基礎コースで終わる人もいれば、もっと上達させたいと何年も通う人もいる。
さて、最後に前段の女性クインさんに話を戻そう。2か月あまり息子1人を観客に最初のコースを終えた彼女は今、同僚、友人、そして夫の前で歌う日を夢見ている。「次の機会には、必ずマイクを握りますよ」とクインさんは笑った。