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夫婦は共同便所から漂う悪臭を少しでも軽減すべく、毎日こまめに掃除しなければならない。夏場は特に臭いがきつく、日々の掃除も大変だ。
「夫と結婚したときは、特に深く考えていませんでした。当時は結婚ってとてもシンプルだったんです。夫の家がどんなかなんて知りませんでしたし、家を訪ねたこともありませんでした。結婚して初めて夫の家を目にして、驚愕しました。でも、結婚したら夫に従わないといけないし、どうしよう、ってね」とサムさんはハイさんと結婚したころを振り返る。
ハノイ市ホアイドゥック郡出身のサムさんはきょうだいが多いが、故郷に帰ることはめったにない。サムさんの経済状況を知っている甥や姪たちは、サムさんを母親のように大事にし、世話をしてくれている。
かつてはサムさんも、生計を立てるために色々な仕事をしていた。若いころは野菜や果物を売り、その後はブンリエウ(カニ風味のトマトスープ米麺)やチャオ(お粥)の屋台を切り盛りした。しかし、何年も前に関節痛がひどくなり、歩くのも困難になって店を畳んだ。現在の収入は子供からの仕送りと、ハイさんが空気入れで稼ぐ小銭だけだ。
家の上り下りには外付けの階段を使わなければならないが、これが不便で、トイレや料理の用事で下に行くたびにサムさんは立ち眩みを恐れて後ろ向きに階段を降りる。そのため、特に重要な用事でない限り、サムさんは家の中にただ座って周りを眺めている。
ハイさんとサムさんには息子と娘が1人ずついる。以前は4人で暮らしていたが、息子は結婚して別々に住んでいる。娘は安定した仕事に就いており、今も夫婦と一緒に暮らしている。