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このサービスについてSNSに投稿した当初、タオさんはからかうようなメッセージをたくさん受け取った。タオさんの投稿を見た人の中には、タオさんがいたずら心ででたらめな投稿をしていると思う人もいたのだ。さらには、タオさん自身への告白のメッセージを冗談で送ってくる人もいた。
「信頼を得て、私が本当に真剣であることを証明するまで1~2か月かかりました」とタオさんは語る。タオさんは1年間で100人以上から注文を受けたが、顧客から伝えてこない限り、告白の結果をたずねることはしないという。
ベトナムではこれまでにも「告白屋」がいたが、ラブレターの執筆代行が主だった。タオさんは自分にしかできないサービスを構築し、もっと価値を持たせたいと考えている。そんなタオさんの「告白屋」は、人々が自分の傷と向き合い、癒す場所にもなっている。
「メールで打ち明け話を夜通し聞いてアドバイスをしても、結局サービスは利用してくれなかった、という人も中にはいますよ」とタオさんは笑って言う。
タオさんは、最初の顧客のことを今でも覚えている。妻に気持ちを伝えたいという、シャイな男性だった。内向的だったその男性は、第一子を妊娠した妻に感謝の気持ちを伝えるため、心のこもったラブレターを書きたいとタオさんに依頼したのだった。タオさんはその依頼を、ラブレターと音声をセットにして25万VND(約1400円)で請け負った。
3月8日の国際女性の日には、男子大学生から母親に向けた手紙の依頼を受けた。彼の手紙を読んだタオさんは、思わず泣き出した。この学生はタオさんに、父親は自分が生まれてすぐに妻子を捨てたこと、自分はずっと母親の言うことも聞かず悪さばかりしていたことを明かした。
彼は大学に入って、これまでの母親の犠牲に気づき、母親の愛に感謝してこなかったことを後悔している、と言った。そこで彼は人生で初めて母親に手紙を書こうと思いつき、タオさんに依頼することにしたのだった。