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120インチのスクリーンにアニメ映画のオープニングが投影されると、子供たちは歓声を上げた。その様子を見て、ホー・ホアン・リエムさん(男性・33歳)は満足げに微笑んだ。
これは、国内の山の上に設置された3つ目の移動式映画館で、それまで映画を見たことがなかった100人近い子供たちのために、リエムさんと協力者が進めてきたプロジェクトだ。
リエムさんは今年1月に南中部沿岸地方クアンナム省ナムチャーミー郡チャーゾン村に、そして5月には南中部沿岸地方ビンディン省クイニョン市カインリエン村に移動式映画館を設置した。
今回の3つ目の移動式映画館の設置に際して、リエムさんたちは南中部沿岸地方ダナン市からクアンナム省ナムチャーミー郡チャータップ村まで数百km、プロジェクターやスクリーンなどの各種機材を運ばなければならなかった。険しい山道で車では入れない場所もあったため、グループのメンバーは機材を担いで山を登った。
リエムさんは2年前に移動式映画館のアイデアを思いついた。山岳地帯の子供たちに海や道路を走る車などの写真を携帯電話で見せた時、初めて見るものに子供たちは目を丸くして驚いていた。1人の子供が高層ビルの写真を指差して「これは何?」と尋ねた時、リエムさんは移動式映画館のアイデアを実行することを決心した。
「映画館は山の上に住む子供たちにとって、心理的にとても遠い存在です。彼らは水牛や鶏、山や小川など、自分たちが生まれ育った場所にあるものしか知らないからです。私は山の上にテクノロジーを運んで、彼らが特別な子供時代を過ごせるようサポートしたいんです」とリエムさん。
初めてアニメ映画を観たときの子供たちの興奮した顔を見て、チャータップ村のタクポー小学校の教員であるチャー・ティ・トゥーさんは感動せずにはいられなかったという。「これまで子供たちは教員が語る外の世界を自分で想像するしかありませんでしたが、今では自分の目で見ることができます」とトゥーさん。
トゥーさんによると、学校の建設や食料の支援、学用品の支援のためのボランティア団体が来ることは今までにもあったが、リエムさんの団体のように子供たちやその家族の精神生活にまで関心を寄せてくれるケースは特別だという。
「山に映画館を運んでくれただけでなく、リエムさんの団体は子供たちに凧やおもちゃの車、ぬいぐるみなどもプレゼントしてくれます。子供たちはリエムさんを『おもちゃの神様』と呼んでいるんですよ。子供たちも親たちも、誰もがリエムさんの団体を愛していて、感謝しています」とトゥーさんは語る。