(C) thanhnien 写真の拡大 |
(C) thanhnien 写真の拡大 |
出張講習に同行
Pは、美容クリニック経営者向けの出張講習もしている。
3月末、フィラー注射の出張講習に同行した。行先はフーニュアン区グエンディンチエウ(Nguyen Dinh Chieu)通りのスパである。
この日のPの持ち物は白衣と施術用具。事前にフェイスブック(Facebook)で無料モニターを集めており、「無料って言っても、充填物1ccあたり29万9000VND(約1600円)はモニターさんからもらうのよ」とPが言う。
そのスパには美容整形に関する看板はなく、店内には、ベッド4台と医療用具。「みんなコロナで隔離していて、今日は私だけ」と今日の生徒である35歳くらいの女性が言った。Pの電話が鳴り、モニターを出迎えにいく。
入ってきたのは中部出身の大学生で、頬に注射してほしいという。「痛いですか?後遺症とか出ますか?今日は誰が施術してくれるんですか?」と不安な面持ちだったが、白衣を着たPが施術することを知ると、少し安心した様子でベッドに横たわった。
モニターの頬に白い麻酔クリームを塗る。そして……生徒が実習を始める。本物の人間で行う、本当の施術だ。生徒はPの指示を聞きながら注射を打つ。「この子の頬、すごく硬い」などと言いながら、注射器を押す。
ちょうどPが別のモニターを迎えに席を外したところで、ついに生徒がヘルプを出した。「P先生!硬すぎて針が入らないんですけど!」モニターは何度も顔をしかめ、その手はシーツを握りしめる。
その後15分ほどで実習は終わった。その間に別のモニターが2人やってきて、順番を待っていた。
「鼻が低いので、鼻に入れてください」と21歳ほどの女性がPに言う。しかし施術をするのは生徒である。その次のモニターは唇に充填してほしいという。欧米の女性のような唇にしてほしいというモニターの唇からは、針が刺さるたびに血が溢れた。
後編に続く