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感染者となったトゥーさんが亡くなったとの知らせを受けた日、集落中がパニックになった。どの部屋にも感染者がいたからだ。感染者たちは皆、味覚を失い飲み込むことすらやっとだったが、とりあえず少しでもお粥やスープを口にしてお腹を温めた。
グエン・ティ・フオンさん(女性・61歳)は、娘と2人の孫と一緒に暮らしている。上の孫は13歳で、家賃の足しにするため雑用の仕事をしている。下の孫はまだ生後1か月だ。娘が出産のために入院した日は、娘の陽性が判明した日でもある。今は家族全員で一緒に居られるが、下の孫のミルクやおむつを購入するため、フオンさんは午前・午後・夜の1日3回、資源回収の仕事に出ている。
「資源回収での収入は孫のミルクやおむつと家賃の支払いに充てます。8月分と9月分は大家さんが家賃を免除してくれましたが、10月分は全額支払わなければいけません。何か月も家に居たので、どんなに疲れていようと、仕事に行って稼ぐしかありません」とフオンさん。
ファン・ティ・ゴーさん(女性・69歳、南部メコンデルタ地方ドンタップ省出身)は、幸い感染者にはならなかったが、ホックモン郡の隔離施設で20日間を過ごした。夫も子供も亡くなっており、広さ10m2の部屋に2匹の猫と一緒に暮らしている。ゴーさんは毎日、自転車でバーチエウ(Ba Chieu)市場やタンディン(Tan Dinh)市場の近くの路地裏を回って資源を回収し、お金を稼いでいる。
この集落がある地域の町内会長であるファム・ゴック・トゥイさんによると、集落の住民は主に他の地方の出身で、部屋を借りて資源回収や肉体労働の仕事をしている低所得者だという。
集落でクラスターが発生してから、周囲の人々が差し入れをするなどして住民たちを支えているほか、街区の当局も、一時滞在登録をしていない一部の住民が新型コロナ支援の給付金を受け取ることができるよう、手続きの便宜を図っている。
こうして、この「ベーチャイ集落」の生活も落ち着きを取り戻しつつある。