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しかしながら、僕が逮捕されてしまったことで、両親は僕が所有していた別荘7軒と自動車3台を売り払い、弁護士費用に充てました。あれだけ稼いだお金も、煙のように消えていったんです。
7年間の刑期を終えて両親に再会した時、父は大腸がんを患い、母はすっかりやせ細っていました。僕は涙をこらえて、過ちを償い、親孝行をするために、自分の生き方を変えなければならないと思いました。
自由は僕にとても幸せな気持ちを与えてくれます。この自由にふさわしい生き方をしなければなりません。お金を稼いでいたピークの時期は、よく眠れた夜などありませんでした。より多くの情報をハッキングする方法や捕まらないように隠れる方法をいつも考えていましたから。
刑務所にいた7年間で、人間の真の価値が何であるかということに気付きました。だからこれからは、この自由な日々と自分の能力を使って誰かの役に立つことをして、夜はぐっすり眠りたいと思っています。
―――あなたはまだ若く、新しいことを始めるのに手遅れということはないでしょう。これから先、何か計画はありますか?
刑務所にいる間、7冊の日記を英語で書きました。日記には、刑務所を出たら実現したいビジネスやサイバーセキュリティのアイデアを書いていました。
今、僕はサイバーセキュリティに関するオンラインセミナーに参加したり、自分の人生やセキュリティの技術について執筆したりと、いくつかのプロジェクトを進めています。
それから、ネットワークの知識を教える無料のクラスも開講したいです。将来的には、お金に重きを置くのではなく、コミュニティの役に立つサイバーセキュリティの会社を立ち上げたいと考えています。
技術専門家になる
ヒエウさんは2020年、ベトナム情報通信省傘下の情報安全局国家サイバーセキュリティセンター(National Cyber Security Center=NCSC)に技術専門家として起用され、現在は独立専門家としてセンターと協力している。
ヒエウさんはこう語る。「米国から帰国して1か月が経ったころ、NCSCの職員から電話があり、カフェに誘われました。そこで自分から彼に、社会貢献のため、自分の人生のためにセンターで働きたいとお願いしました。そして1か月後に申し出を受け入れてもらえました」。
詐欺サイト撲滅のウェブサイト<chongluadao.vn>は、ヒエウさんのアイデアから生まれたものだ。ヒエウさんはベトナムに帰国してから仲間を4人集めて、コミュニティの役に立つべく2020年12月にこのサイトを立ち上げた。