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ベトナムの30VND札は、過去に2度印刷・発行されたが、以後消えた幻の紙幣となっている。
ベトナム国家銀行(中央銀行)によると、1976年に南北が統一され、ベトナム社会主義共和国が成立した後の1978年に発行された通貨ドンは、それまで北と南で価値が異なる通貨ドンを使用していたベトナムにおいて、全国で同一の価値を持つ初めての通貨となり、ベトナムの通貨の歴史の新たなページを開くことになった。
それ以前は、1976年7月に南北の銀行システムが統合されたものの、一時的に北と南でそれぞれ独自の通貨ドンが流通していた。1978年に新たに発行された通貨は硬貨と紙幣があり、紙幣は5ハオ(hao、1VND=10ハオ)、1VND、5VND、10VND、20VND、50VNDの6種類だった。
「ベトナムの通貨の歴史」と題した書籍によると、1978年の発行後、1980年に中央銀行は2VND、10VND、30VND、100VNDの4種類を発行した。ここで誕生した30VND札は、紙幣のサイズが144mm×71mmで、ピンクがかった紫色のデザインだった。
同じ書籍によると、1985年に中央銀行はさらに紙幣を発行した。この発行に合わせて、1985年9月14日に通貨ドンの切り下げが行われ、新1VND=旧10VNDとなった。この時、硬貨は発行されず、5ハオ、1VND、3VND、5VND、10VND、20VND、30VND、50VND、100VND、500VNDの紙幣のみが発行された。
1985年に2回目として印刷・発行された30VND紙幣のサイズは150mm×75mm、ピンクがかった青色のデザインで、裏面にはホーチミン市にあるベンタイン市場の外観が描かれていた。