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「今のタイヤサンダルは以前と比べて大きく変わりました。戦時中に履かれていたバックストラップのサンダルだけでなく、たくさんの種類やモデルがあります。若者用、お年寄り用、女性用、子供用など、それぞれのパターンがあるんです。でも特別なのは、すべてが手作業で作られているということです」とチュオンさん。
ブアゼップロップのショールームで最も目立つ場所に展示されているタイヤサンダルは、それぞれを製作した職人が名付けた「ホーおじさん(Bac Ho)」、「ザップ将軍(Bac Giap)」、「ケサン(Khe Sanh)」の3つのモデルだ。
「ホーおじさん」と名付けられたモデルは、ホー・チ・ミン博物館に展示されている、故ホー・チ・ミン主席が実際に履いていたタイヤサンダルを元にしたものだ。クオンさんの義理の父であるスアンさんは、博物館の設立当初から、歴史的なサンダルを再現するために選ばれた4人の職人のうちの1人だった。
「ザップ将軍」は抗仏戦争時代に製作されたタイヤサンダルを、また「ケサン」は南北統一につながった米国との戦争時に製作されたタイヤサンダルを再現している。これらのモデルは職人たちが大切に作り続けてきた伝統的なサンダルで、現在でも売れ行きが良い。購入者は外国人やベトナム戦争の退役軍人、そして個性的なスタイルを好む人々だという。
クオンさんのショールームには、さらに数十種類もの異なるモデルが展示されている。伝統的なラインはバックストラップサンダル、グルカサンダル、スリッパ型のものなどで、女性向けにヒールの高いモデルもある。これらのサンダルは航空機や大型トラックのタイヤのほかに、繊細に染色された合成ゴムで作られているものもある。
「義父の仕事を継ぐと決意したときに最も大変だったのは、どうすれば顧客にタイヤサンダルのイメージを変えてもらえるかということでした。歴史的な価値は1つの強みですが、それだけでなく、品質、デザイン、履き心地、耐久性の面でも顧客に納得してもらう必要がありました」とクオンさんは打ち明けた。
クオンさんは、航空機のタイヤで作られ、ソールには合成ゴムを使ったエレガントなデザインの青色のストラップサンダルを手に取りながら、タイヤのゴムに合成ゴムを接着させる技術の研究に3年間を費やしたのだと教えてくれた。柔らかい履き心地と様々な色合いについても、自社の工場で研究を重ね、成形・染色している。
「タイヤサンダルの強みは耐久性があり水に強いことですが、以前使用していたゴムは重く、肌に黒い色が移ってしまうものでした。私たちはこうした欠点を克服するために研究を重ねました。タイヤサンダルは展示するだけでなく、日常的に使えて、かつファッション性の高い商品でなければなりません」とクオンさんは語る。