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リンさんはハイさんのオフィスの前を通るたび、わざとうろうろして中を覗き、ハイさんの姿を探した。また、リンさんは何度となく率先してハイさんに話しかけ、冗談を言って彼を笑わせた。
ハイさんは当初、リンさんが初対面の自分にも気軽に話しかけてくれるのは社交的な性格からだと思っていた。しかしほどなくしてハイさんは、リンさんが自分に特別な感情を抱いていることに気付いた。
とはいえ、隔離期間2週間の2人の関係は、お互いの名前と年齢を知るだけに留まった。
「隔離施設では感染のリスクを減らすために皆お互いに距離を取り、なるべく接触しないように努めていましたし、ハイさんも仕事が忙しく、私も私でやることがあったので……」とリンさんは語る。
新型コロナウイルス検査の3回目の陰性の結果を受け取り、リンさんは集中隔離施設を出られることになった。別れの前に、2人は携帯電話番号を交換した。
空港に向かう車の中で、リンさんからハイさんにホーチミン市で会いましょう、とメッセージを送った。自分の心の声に従ってハイさんは急いで仕事を片付け、リンさんに会いにホーチミン市へ向かった。これが2人にとって相手のことをよく知るチャンスとなり、2人はお互いの特別な気持ちに気付いたのだった。
リンさんがハノイ市に戻った後、2人は日常的に電話で話すようになり、いつの間にか恋人同士になっていた。ハイさんは仕事柄なかなかリンさんに会いに遠出をすることができなかったため、代わりにリンさんがビンズオン省を訪れた。
「遠距離恋愛でしたが、いつもお互いに気遣い、愛情を育んでいきました。リンが1か月ごとにホーチミン市に出張していたので、そのたびに2人で会っていました。私の仕事を理解し、共感してくれた彼女にとても感謝しています」とハイさん。