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「彼らが飛び降りることを決心してしまったら、私たちにはどうにもできないということは理解しています。ここでなくても別の場所で、今でなくても別のタイミングで、彼らは自殺を試みるでしょう。それでも、飛び降りようとする人を見つけてしまったら、私たちの良心は見過ごすことを許さず、彼らを救おうとするんです」とタインさんは語る。
橋から飛び降りて人生を終わらせることを選んだ人々のほとんどが、恋愛、家族、または破産などで悲しみを抱えており、特に毎年大きなサッカーの試合が行われた後は、賭博に負けて橋に来る人が増えるという。
「割り当ても報酬もない仕事ですが、私たちは良心に従ってこの仕事を引き受けています。さらに、救助した後は警察署に報告書を提出し、証人になる必要もあるので、面倒ではありますが、誰もこの仕事に躊躇はしていません」とタインさんは続けて教えてくれた。
かつて、旧フェリーターミナルの職員として働いていたフイン・タイン・チュックさん(男性・45歳)は、カントー橋が完成すると橋の警備の仕事に異動した。
チュックさんはこの10年間で、勤務中に約20人の自殺志願者を救助した。救助した人々に自腹で朝食やコーヒーをご馳走し、落ち着いたところで、家族に電話を掛けて迎えに来てもらう。無事に家族に引き渡すと、ようやく安心して仕事に戻ることができる。
「夫に関心を持ってもらえず、悲しみのあまりここに来た妊娠中の女性を救助したことがあります。後日、女性の家族が果物を持って感謝の気持ちを伝えに来てくれました」とチュックさんは語る。
人生の半分近くをハウ川と共に過ごす中で、チュックさんは勤務中に何度か自殺の現場に遭遇し、遺体を捜索するためのボートが川に浮かんでいるのを目にしてきた。岸の両側で家族が泣きながら名前を呼んでいる姿を見ると、警備員たちの心も重くなる。
「最も大変なのは雨季で、家族がボートを雇って1週間ずっと遺体を探していることもあり、胸が痛みます。私も警備員の他のメンバーも、そうした痛ましい場面を目撃したくはないんです」とチュックさんは胸の内を打ち明けた。