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南中部沿岸地方フーイエン省タイホア郡出身のチャン・ティ・クックさん(女性・54歳)は、ホーチミン市で宝くじを売って生計を立てている。
クックさんにとって、テト(旧正月)にフーイエン省に帰って娘の祭壇の世話と墓参りをすることだけが、日々の暮らしの中で心が温まる唯一の生きがいだ。
クックさんは、17年前のある日の午後の電話を忘れることができない。電話の向こうで、田舎の近所の人が泣きじゃくりながら小さな声で「クックさん、すぐに帰ってきて。娘さんが事故に遭ったの」と言ったのだった。
話を聞くや否や、クックさんは手に持っていた宝くじを放ってバスに飛び乗り、田舎へ帰ったが、最期には間に合わなかった。「村に着くと、お葬式の音楽が聴こえました。自宅にお葬式の旗が掲げられているのを見て、私は気を失ってしまいました」とクックさんは語る。
クックさんの娘、レ・リー・ナーさんは、学校からの帰り道に交通事故に遭った。ナーさんは当時18歳になったばかりで、兄は軍隊に入り、母親のクックさんはホーチミン市で宝くじを売っていたため、家族はばらばらに暮らしていた。
娘が亡くなるまで、クックさんはまさか自分が娘の最期に立ち会うことができないなんて、とても信じられなかった。