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フンさんはいても立ってもいられず、両家の結婚式の全ての費用を負担すること、また2人の将来の子供たちの学費もサポートすることを約束し、両家の家族に会いに行った。そして今年の10月末、花嫁にはブライダルジュエリーをプレゼントし、新郎側30卓と新婦側11卓の宴会テーブルを準備して、結婚式を執り行った。総額1億VND(約45万5000円)以上の費用は全てフンさんが支払った。
「結婚式から1週間以上経ちますが、毎朝目が覚めるたびに夢を見ているのではないかと思ってしまいます。もしフンさんがいなければ、いつ結婚できていたかわかりません」とチーさんは語る。
フンさんのことを長年知る人であれば、この話は奇妙なことでも何でもない。以前、フンさんの店は工業大学のビエンホアキャンパスの近くにあったため、フンさんは多くの学生をアルバイトとして受け入れていた。東南部地方タイニン省出身のグエン・タン・フンさん(男性・40歳)は19年前、化学工学技術を学ぶ学生の時にフンさんの店で働き、フンさんの最初の「養子」となった。
タン・フンさんの父親は早くに亡くなり、母親も出て行ってしまい、3人きょうだいは父方の祖母の家で暮らしていた。それを知ったフンさんは、タン・フンさんを自分の家に迎え入れた。フンさんはタン・フンさんの学費と生活費を支援し、大学が休みの日に店を手伝えば相応の賃金を支払った。
「フンさんは私が必要なものを全て与えてくれました。ある時、フンさんは私に何が食べたいかたずねました。ドリアンを食べたことがないと答えると、フンさんは大きなドリアンを2つも買ってきてくれました」と、今年40歳になったタン・フンさんは懐かしんだ。
フンさんの店の近くに住む常連客のホアン・タイさんは、当時について教えてくれた。「工業大学がまだここにキャンパスを置いていたころは、多くの学生がフンさんの店でアルバイトをしていました。客はいないのに、アルバイトの学生が10人以上も働いている、なんていうこともよくありました。学生がお金を稼げるように、フンさんが店で働かせてあげていたことを後で知りました」。