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また、基金メンバーのグエン・ティ・ジエム・ハインさんは、支援している300人近い子供たちのそれぞれの環境や気質についてズンさんがはっきりと覚えていることが印象的だといい、「私のように基金に参加しているメンバーは皆、彼女を尊敬しています」と教えてくれた。
カットボン基金の設立から3年が経ったころ、基金の支援を受ける50人の子供たちが集まるサマーキャンプがハノイ市で開催された。これは、ズンさんの夫が初めて孤児たちの幸せと喜びの涙を目の当たりにする機会ともなった。
子供たちは皆で一緒に歌い、踊り、演じ、愛情を表現した。すべて、支援を受ける前には機会がなかったことだ。「君が選んだ道は正しかったと思う。これからもこの支援を自分の人生の目標にしてほしい」。サマーキャンプが終わった後、ズンさんの夫は彼女にこう伝えた。
8年間の活動の結果、80人の子供たちが支援を終え、現在は大学に通ったり、適職を得て働いたりしている。タインホア省クアンスオン郡で暮らしていたシャイな女の子、ビエン・トゥオンさんは現在、ハノイ市にあるベトナム外交学院の2年生として頑張っている。また、3人きょうだいの孤児の末っ子のティーさんは、カットボン基金のシェアハウスで共に暮らすメンバーの家族のような空気に包まれ、愛情を受けて、以前よりもはるかに堂々としている。
ティーさんは初めてのサマーキャンプを終えて自宅に帰ると、ズンさんにメッセージを送った。「ズンさん、私は今まで『お母さん』と誰かに呼びかけたことがありませんでした。ズンさんの愛情をもらってから、私は『お母さん』と呼びたい気持ちでいっぱいになりました。この一度だけ、呼ばせてくださいね」。このメッセージを読み、ズンさんの目から涙が溢れた。それ以来、ティーさんだけでなく、カットボン基金の他の子供たちもズンさんのことを「ズンお母さん」と呼ぶようになった。
カットボン基金から巣立った子供たちのうち、北中部地方ハティン省出身で視覚障害を持つチャン・ベト・ホアンさんは、ホーチミン市にあるフルブライト大学ベトナム校に合格した。ズンさんは、ホアンさんのことをとても誇りに思っている。
ホアンさんには父親がおらず、母親は病弱で20年以上も透析を受けている。カットボン基金のことを知る前は、ホアンさんはマッサージの学校に通い、高校卒業後は母親を養うために働きに出るつもりでいた。そんな中、卒業を迎える前の2018年、ズンさんがホアンさんにフルブライト大学ベトナム校への出願を勧めた。しかし、両目に視覚障害を持つ自分にはインターナショナルスクールは過酷すぎるとホアンさんは答えた。