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前編はこちら:ベトナムの「パパ活」の実態に迫る【前編】シュガーベイビーとシュガーダディーの契約
地元紙「トゥオイチェー(Tuoi Tre)」の男性記者は、「シュガーダディー」を装って「シュガーベイビー」と連絡を取り、男性の視点でベトナムの「パパ活」の実態に迫った。
記者がオンラインのシュガーダディーとシュガーベイビーの秘密のグループに潜入し、「孤独な男性。サイゴン(ホーチミン市)に持ち家あり。良い子を探しています」という自己紹介文を投稿すると、10分も経たないうちに「娘」たちから数十件ものメッセージが届いた。
道端で購入したHIV検査結果
記者はインターネット上で調べたシュガーダディーの「狩り」の経験に関する情報を参考にして、すぐにはターゲットを釣り上げないことにした。不健全で変態な「パパ」も多いが、娘になることを受け入れる女性たちもたいがい「化け狐(妖狐)」なのだ。
多くのシュガーダディーが若い学生の女の子を求めているため、秘密のグループにも「貧しい学生。良い子。援助してくれるパパが必要です」という女性の書き込みがあふれている。しかし実際には、本物の学生のシュガーベイビーは多くない。学生を偽ってパパを探している女性の多くは売春婦や別の職業で、中には工場労働者もいる。
男性記者は、8月初旬のある晩にシュガーベイビーのグエン・タイン・ガンさんと会うことになった。記者が主導したのではなく、ガンさんのほうがあれよあれよという間に初対面の場を設定してくれた。
ガンさんは1999年生まれで、医学部の3年生だと自己紹介した。会う前のメッセージで、「健康診断書があったら持ってきてね。医学を勉強しているから慎重なの」と話し、彼女は陰性のHIV検査結果に加え、梅毒や淋病など他の性感染症も陰性ということを証明する書類まで用意しているとのことだった。
記者は返信しなかったが、業界の女の子たちは偽造した「クリーン証明書」を道端で100万~200万VND(約4650~9300円)で買っているということを後から知った。一方、一緒に病院へ行って検査を受け、目の前で陰性であることを確かめるという場合もある。
「君は学生なのにずいぶん大人っぽいね?よくこの店にくるの?」ホーチミン市3区グエンディンチエウ(Nguyen Dinh Chieu)通りにある豪華なパブでガンさんと初めて会い、記者は驚いたふりをしてたずねた。「まさか。友達の誕生日で1~2回きたことがあるだけよ」とガンさんは答えた。
ガンさんは記者の正面に座り、娘にしてほしいと頼んだ。背が高くて色白で、露出度の高すぎない服を着ていたが、時々わざとかがんで深い襟ぐりから胸元をのぞかせた。
記者が「どうして有名な大学で勉強しているのに、パパを探しているんだ?」と優しい声で単刀直入にたずねると、ガンさんは「こんな状況だから大変なのよ。今年はティエンザン省(南部メコンデルタ地方)にいる両親の畑は干上がってしまって、学費に充てるお金なんてないの」と苦しそうに答えた。
娘になったらいくら必要なのかと記者が聞くと、ガンさんは「ほんの少しよ、1か月2000万VND(約9万3000円)だけでいいの。他に何人娘を養ってもかまわないから」と猫なで声で答えた。そして、月末には引っ越さなければならず、引っ越しも援助してほしいということだった。
「新卒の月給の4~5倍じゃないか。でも、もし僕が払えるとして、代わりに君は何をしてくれるの?」と記者が聞くと、「週2~3回会いにきてくれてもいいわ。あなたがしてほしいことをしてあげる。でも、その年じゃ奥さんがいるでしょう?私に使う力は残っているの?」と聞き返してきた。