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機知に富んだ学生
売春婦を疑い、記者は秘密のグループでシュガーダディーたちから学んだ質問を投げかけてみた。「わかった、でも僕の娘になるんだったら…」。「大丈夫よパパ。私は大変な状況だからこそここに来たんだし、隠すようなこともないわ。信用のために500万VND(約2万3000円)ちょうだい。そうしたらすぐに私の『若い生果実』の写真を送るから」。
記者は、ガンさんが「若い生果実」という言葉を使い、さらにすぐに写真を送ると言った時点で、たしかに機知に富んでいると思いつつ、99%学生ではない、と察した。そして、最後の一言で「締めくくる」ことにした。
「このところ、新型コロナウイルスのせいで僕の仕事も大変だよ。皆、ワクチンを待ち望んでいる。そういえば、ワクチンの研究はどこまで進んだんだっけ、医学部の学生さん?」記者の質問を聞いて、自称医学部3年生のガンさんは口ごもり、話をそらした。医者になるための勉強をしているにもかかわらず、新型コロナウイルスのワクチンに関心がないわけがない。
記者はガンさんと別れ、帰路についた。若い女性にだまされたが、悪い気分ではなかった。実のところ、相手がこの道に足を踏み入れざるを得なかった本当の苦学生でないことを願っていたのだった。
「業界の女の子」と貧しい少女たち
シュガーダディーを装って数日、記者は愛とお金を交換するこのアンダーワールドで、多くの事実を知った。何らかの状況に直面した若い女性が、精神的・物質的な助けを必要とし、不健全なパパの手中に落ちてしまう、というのが1つだ。一方、実際には女性のほうが「ハンター」というケースも多い。
ハンターの女性のほとんどが「業界の女の子」すなわち売春婦か、飲食店の店員で、物質的な部分をカバーしてくれる人を探している。
こうしたシュガーベイビーは、シュガーダディーに月2000万~3000万VND(約9万3000~14万円)を要求する。人によっては月5000万~1億VND(約23万3000~46万5000円)ということもあるが、卓越した美しさがあり、お金持ちと出会わなければならない。さらに、家賃やスクーターも求める。
別の類のシュガーベイビーは、工場労働者や普通の飲食店・ショップの店員で、ほとんどが地方から出てきた人だ。彼女たちはただ単に、家賃と月500万~700万VND(約2万3000~3万3000円)の生活費がほしいがためにシュガーダディーを必要としている。中にはローンや借金の支払いや、まだ持っていないバイクを求めるだけの人もいる。
そして、こうしたクリーンで正直で「安い」女性たちこそ、シュガーダディーたちが最も求めているシュガーベイビーなのだ。
3日900万VNDのパッケージ
前編でシュガーベイビーを装ってこのアンダーワールドに潜入したトゥオイチェー紙の女性記者は、シュガーダディーだけでなく、女性からも多くのメッセージを受け取った。
内容は、「ダラット(南中部高原地方ラムドン省)に、ベイビーを探しているお金持ちのお客さんがいます。報酬も高く、食事も宿もお客さん持ちです。もしよければ返信をください」というものだった。
メッセージを送ってきた女性の1人は、ホーチミン市タンフー区在住のグエン・ティ・トゥイさん(仮名)だ。プロの売春婦ではない若い女性を探して、お金持ちの男性客にシュガーベイビーを仲介し、時には長期で客に同伴する「ツアー」にも行かせる。
トゥイさんは「私と一緒にダラットへ行ってその男性に会うの。報酬はすべてあなたの懐に入る。仲介料はすでにお客さんから受け取ったから、あなたから仲介料を取ることはないわ。それでよければ、一度カフェで会いましょう」とメッセージを送ってきた。