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少数民族モン族のラウ・ミー・サーさん(男性・21歳)は、東北部地方ハザン省ドンバン郡スンチャイ村スンクア地区(ban Sung Cua, xa Sung Trai, huyen Dong Van)を走る道路の間に4Gの電波が入るポイントがあることに気付き、その場に小屋を建てて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う休校中のオンライン学習の準備を整えた。
広さ15m2の小屋は、トウモロコシの丘の上に木材を組み、屋根はビニールシートで覆った。サーさんはポケットから携帯電話を取り出すと、頭の上で何度か振り、4Gの電波が届いているのを見て微笑んだ。
「これでオンライン学習の場所ができました」とサーさんは言い、新しい電球をコンセントにつなぎ、小屋の中を照らした。これが、ハノイ市の国家行政学院で公共管理を学ぶサーさんと友人がオンライン学習のために村の道路沿いに建てた「書斎」だ。
サーさんの学校はテト(旧正月)明けから新型コロナウイルス感染症の影響で休校となり、サーさんはハザン市から約120km離れたスンクア地区の実家に帰った。学校がオンラインで授業を行うことになったものの、サーさんはインターネット接続の問題でオンライン学習を見送らざるを得ないと思っていた。
理由は、スンクア地区にはインターネットに接続できるポイントが1か所しかなく、しかもその場所は自宅から1kmも離れている上、中国からの出稼ぎ労働者の集中隔離エリアとなっていたためだ。サーさんは自宅の裏の高い山に登って電波を拾おうとしたが、断続的にしか接続できなかった。
「以前たまたまこの道路を通った時に4Gに繋がることがわかったので、長期的に学習ができるよう、ここに小屋を建てることを決意しました。感染症の流行がいつ終息するかわかりませんから」とサーさん。
サーさんは国家行政学院で学ぶため3年前にハノイ市に移った。サーさんの唯一の夢は、村の役人になることだ。サーさんの一家はトウモロコシ畑で生計を立てており、時には十分なお米もないほどだったが、幼い頃からの夢をあきらめることはなかった。