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北中部地方ゲアン省出身のカイン・バンさん(女性・38歳)は、4年前にインドネシア人と結婚してイスラム教に改宗した。以来、バンさんも同じくベトナムのテトを祝わなくなった。「テトには故郷に帰り、お寺にも行きますが、あくまでも観光で、中には入りません。お年玉は、習慣としてではなく慈善のつもりで家族や友人にお金を渡します」。と打ち明けた。
一方、マリア・グエンさん夫妻はいずれもベトナム人のイスラム教徒だ。ムスリムではあるが、9歳と4歳の2人の子供にベトナムのテトの風物詩を伝えるため、毎年テトを楽しみにしている。
「毎年ココナッツ菓子やバナナ入りのバインテット(banh tet=ちまき)、鶏肉入りのバインチュン、牛肉と卵の煮込みを作ります。お供えはしませんが、大晦日の夜には夫婦でお茶を飲みながら、新しい年を迎える瞬間を楽しみます。元旦の早朝には2人の子供にお年玉も渡します」とマリア・グエンさんは語る。
マリアさんによると、イスラム教徒の男性と結婚したベトナム人女性の多くは、ベトナムのテトを祝わなくなるという。しかし、マリアさん一家は信仰に反しないよう、テトを祝っている。「親戚や友人に会って食事をしたり、話をしたりします。皆に渡すため、バインテットを20~30個作ることもありますよ」とマリアさん。
ベトナム式にテトを祝うことはできないが、ベトナム人のイスラム教徒もテトには家族の待つ家に帰り、バインチュンを食べ、少なからずテトの雰囲気を楽しみにしているのだ。