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ジエムさんはチーさんに尋ねた。「本当にいいの?私は一生、車椅子に座ったままよ」。このときジエムさんは、チーさんがやっぱり結婚しないと心を変えるかもしれない、という心の準備もできていた。でもチーさんはサインをし、「全部わかっているから、僕が面倒を見るよ」と言った。
その後、2人は南部メコンデルタ地方ロンアン省の故郷を離れて、ドンナイ省に移った。チーさんは収入も良かった溶接工を辞めて、妻の世話をする時間を確保するため、電動自転車の販売店で働き始めた。収入は不安定だったが、2人は両親にいくらかを仕送りした。
1年間一緒にいて、チーさんは大変だと感じなかった。帰宅すると家の中はいつも笑い声が響き、妻に美味しい料理を食べてもらうため空いた時間はインターネットで調べものをする。
ジエムさんは箸を持って食べ物をつかむことはできないが、お椀とスプーンを持つことはできる。時には、口に入りきらないほどの大きな肉をチーさんがジエムさんのお椀に取ってからかい、すねるジエムさんを見て笑うこともある。
ジエムさんの健康状態が良くないことや経済的に安定していないことから、2人はまだ子供を持つつもりはない。何よりも、2人の結婚を両親に認めてもらうことが先決だと考えている。
テト(旧正月)が近づき、ジエムさんは朝早くから夜遅くまで、いつもより多く宝くじを売っている。テトに故郷へ帰る車を借りるため、そして両親に贈り物をするためだ。
2人は今度のテトの機会にもう一度両親を説得することに決めた。今年に入ってジエムさんは父親と話していない。チーさんの母親も相変わらずで、ジエムさんと別れて別の人と結婚するよう勧めている。
心配していないと口では言いつつ、ジエムさんもチーさんも緊張はしている。テトに帰ったら両親と向き合うことになる。最悪のシナリオも頭をよぎった。「でも、夫婦が同じ気持ちでいれば、1年でだめなら10年かかったとしても、両家の親も僕たちの愛情を理解してくれ、全て乗り越えられると信じています」とチーさんは語った。