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起業からわずか8か月余りで、グエン・フウ・アインさん(男性・29歳)のソフトウェア会社「テソ(TESO)」は、国内外の大手テクノロジー企業と50件ものアウトソーシング契約を結んだ。
ある日、シンガポール国立大学(NUS)の講師と学生の団体が、ホーチミン市3区にあるテソのオフィスを訪問した。NUSのメンバーがここを訪れたのは、観光や交流のためではなく、起業やインターンシップ、雇用の機会について学ぶためだった。
NUSがテソを訪問先に選んだのは、スタートアップ企業としての戦略と活動モデルに感銘を受けたからだという。ある学生はアンさんに「米国で働いていたのに、どうして起業するためにベトナムに帰国したのですか?」とたずねた。
アンさんは「米国では、社会がとても発展していて、全てが安定しています。一方ベトナムでは、解決すべき問題がまだまだあると思いました。多くの問題があるところには多くのチャンスがあるという考えから、そのチャンスをものにして起業したいと思ったのです」と答えた。
アンさんの自信に満ちた様子と説得力のあるメッセージからは、まさか彼がテソを立ち上げてまだ8か月しか経っていないなどと考えもつかないだろう。前年の同じころ、アンさんはまだハノイ市ドンダー区に暮らす1人のプログラマーだった。
2018年8月、アンさんの開発した英語学習アプリケーション「クレバーチューブ(CleverTube)」が、ホーチミン市ベトナム青年連合会傘下のビジネススタートアップサポートセンター(BSSC)が主催するスタートアップコンテスト「ベトナムスタートアップホイール(Vietnam Startup Wheel)」で最優秀賞を受賞し、多くの人にアンさんの名が知られるようになった。