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2014年から2016年にかけてのピーク時には、平均して月に2~3人の捨てられた子供がラムさんのシェルターにやって来た。シェルターは古く、ガタガタで雨漏りもしていた。「私がしていることを理解し、母はシェルターの周りの土地を全て私に与えてくれました。私は拒否しましたが、母の決意は固く、私は受け入れざるを得ませんでした。兄弟たちも、財産の半分を私が受け取ることに同意し、シェルターを新たに建て直すことにしました。子供たちが今ここにいるのも、今日を生きているのも、私1人では成しえないことでした」とラムさんは打ち明けた。
2017年8月、シェルターは再建によりさらに広くなった。しかし、新しいシェルターに引っ越してからわずか10日後、突然の火災により全ての家財道具が焼失した。幸いにも怪我人は出なかった。
「でもそれは、不幸中の幸いでもありました。9年半にわたり私はひっそりと子供たちの命を救ってきましたが、火事の後、親戚がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて子供たちが学校に行くための古着や古本の支援を呼びかけてくれました。その投稿が多くの人にシェアされ、たくさんの支援者がシェルターを訪ねて来ました。おかげで、今シェルターにいる90人の子供たちのうち、38人の新生児を除く子供たちは皆、学齢通りに学校に通えているのです」とラムさん。
まだ幼い子供は学校から帰ると「お父さん、友達が自分を『孤児だ』と言うんだ」と話すこともある。そんな時、ラムさんは「皆は孤児じゃない。お父さんがいるじゃないか。この家にいる皆はきょうだいなんだよ」と言って聞かせるのだという。
2番目に受け入れた子供からは、全員が「グエン・ホアン・フック~」という共通の名字とミドルネームをつけられ、それぞれ異なる下の名前を持つ。ホアンは「栄光」、フックは「幸福」という意味で、どちらもラムさんが子供たちの未来に望んでいることだ。ラムさんの記憶には、約100人の子供たちの人生の物語が深く刻まれており、子供たちが経てきた環境や病気、また起こった出来事の日時まですらすらと話すことができる。
現在のラムさんの喜びは、ただただ子供たちが楽しく元気に過ごしているのを見ること。そしてラムさんの幸せは、不幸な天使たちを救うために自分が腕を広げることだという。しかしそれ以上の幸せは、彼のことを父親と呼ばなければならない子供たちがこれ以上増えないことだ。