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そんな農家の一つ、チュー・バン・バックさんの家は約25年間、シルク生産の全工程を守り続けてきたが、7年ほど前から繭を仕入れる方式に変えた。周囲の工業団地による環境汚染の影響か、品質の良い繭を生産できなくなったためだという。今は製品の出荷先を探すのに苦労しており、生産停止も考えている。
ボングエット村落の養蚕農家は、近代的な設備に投資せず、手工業的な遅れた方法で生産してきた。そのため市場での製品の競争力が弱い。村落の若い世代は、この伝統工芸に背を向けており、伝統断絶の危機にひんしている。
タムザン村人民委員会のレ・ダック・カイン副主席によると、ボングエットシルクの生産を維持するため、村は一部の銀行と協力して養蚕農家に対する低利融資制度を設けたり、イエンフォン郡の関連機関に製品の出荷先紹介を要請したりしている。
しかし伝統を維持するには、養蚕農家の世代間で伝統文化とそれを守ろうとする情熱が受け継がれてゆくことが必要だ。さらに彼らが安心して生産できるように、行政が支援することも重要になる。もし積極的な対策を取らなければ、近い将来、ボングエットシルクは人々の記憶の中にしか残らなくなってしまうだろう。