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紅河デルタ地方バクニン省イエンフォン郡タムザン村にあるシルクの伝統工芸村、ボングエット村落には、1000年の歴史がある。しかし時代の流れには打ち勝てず、このシルク村は衰退しつつある。
74歳のチュー・ティ・トゥーさんは、シルク村が繁栄していた時代を知る一人だ。当時はどの家でも桑を植え、蚕を飼い、織物を織っていた。村の老若男女の誰もが、それぞれにふさわしい形でシルク生産に参加していた。国の内外から仲買人が買い付けに来ていたため、村民の生活はかなり裕福だったという。
ところが約7年前から、シルク生産に携わる養蚕農家がわずか10世帯ほどになってしまった。それも一部の生産工程を担うだけだ。3世帯は品質の高い繭を外部で仕入れて、製糸している。桑を栽培している家も減り、女性が糸車を使って手作業で製糸する姿はほとんど見られなくなった。
一部の養蚕農家は伝統を守りたいとシルクの生産を続けているが、かつてのように桑を植えてから製糸までの全ての工程を行ってはいない。品質の良い繭を仕入れて、細々と絹糸を生産しているにすぎない。