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南中部沿岸地方クアンガイ省ビンソン郡ビンチャウ村のガインカー集落に住むチュオン・カオさんは今年で75歳になるが、この30年近く風雨の強い日や病気の時を除いてほぼ毎日、自発的に海岸のごみを集めて燃やしている。
ガインカーは漁業の集落として知られる。カオさんも若い頃から漁業で生計を立てていたが、年を取って以前のように体が動かなくなったため、引退を決めた。
カオさんがゴーダー海岸に行く時は、レーキに灯油とライターを持参する。ごみだらけの海岸に立つカオさんの姿は、これから戦いに挑む老将軍のように見える。掃除をしてもごみは増える一方で、多くの人に環境を守ろうとする意識が低いように感じているが、カオさんは誰も非難せず、黙々と掃除を続けている。
カオさんは昔を懐かしむ。昔は竹やバナナの葉など自然素材の物を使っていたが、今はプラスチックやビニールばかり。便利な文明の産物だが、捨てられると自然にかえらずにいつまでもごみとして残る。カオさんはごみを捨てる人を責めずに、「文明」に責を負わせる。
それでも海岸でごみを捨てる人を見かけると、「もっと遠くに捨てとくれ」と優しく声をかける。集落の近くでは悪臭やハエが問題になるためで、よその土地に捨てろという訳ではない。カオさんは後で掃除するつもりでこう言っている。