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悠久の都、古都ホイアンの中でも最も静かな通りの片隅で、ある一人の作家が自らの世界をその独創的な手法で芸術にまで昇華させた。ひたすら取り組むこと30余年、貧しい作家の夢はいつか巨大な絵画を作ってギネスに挑戦することだ。
作家の名はディン・ゴック・ダット(本名ディン・トン)。芸術に生涯を捧げる彼は現在、市場の近くにある12平米程の借家で暮らしている。その小さな間取りの家には彼の作品が所狭しと飾られている。
私は一目見ただけで異世界に迷い込んだかのような錯覚に陥った。壁に掛けられているのはただの絵画ではない。目を凝らしてみれば、それが1枚1枚、鶏の羽を貼り合わせて作られた貼り絵だということが分かる。作品からは羽ならではの自然な色合いと不思議なぬくもりが感じられた。
現在の作風に到達するまでには幾多の汗と努力を要したという。原点は子供時代にある。幼いころからカラフルな鶏の羽が好きだった。離れ離れになる同級生への手向けの品として、鶏の羽で作った貼り絵を贈ったのが始まりだ。