(C)Tien phong,Nguyen Thanh、ロイさん(左) 写真の拡大 |
養老院の運営費として1か月当たり1500万ドン(約7万円)が必要になる。老人に支給される1人当たりの年金は60万ドン(約2800円)。それではとても足りないので、ロイさん夫妻は自分達の年金の余りや庭木販売事業の利益をつぎ込んでいる。養老院の経営は利益目的ではないかと陰口を叩かれたことから、資金は管理人にすべて渡し、地元の祖国戦線委員会に監査をお願いして透明性を担保している。
ロイさんは最近、椎間板ヘルニアの手術をしたばかりだ。手術が決まった時、16人の老女達はロイさんが歩けなくなるのではないかと心配し、全員涙した。手術は無事成功し、ロイさんは事前の見込みより早く体を動かせるようになった。ロイさんは「神様のおかげです。母達の面倒をみることができなくなってしまうかもと不安でした」と笑った。
最初に養老院に入ったニャムさんは、家族も親戚もなく一人で粗末な家に暮らしていた。現在92歳だが肌の色艶が良く元気だ。「あの子(ロイさん)のおかげで今まで生きてこれました」と歯のない口でうれしそうに語る。
老女達に自分の田舎に帰りたいかと尋ねると、全員が首を横に振った。「以前のように一人ぼっちではなく、話をできる友達がいて、世話してくれる人がいるここが幸せ。ゆったりと人生最後の時まで楽しく生きれればいい」。皆の思いは一つのようだ。