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今年9月、コーヒー大手チュングエングループがベトナム乳業株式会社(ビナミルク)からコーヒー加工工場を買収したというニュースが報道された。チュングエンの名がマスコミを賑わせたのは久々のこと。多くの人は「チュングエンの時代はもう終わった。今は金融や株式で儲ける時代だ」と思っている。しかし同社のダン・レ・グエン・ブー社長は今も、自分の夢を追い続けている。
今回の工場買収は、国内コーヒー市場でシェアトップの座を築き、チュングエンをナンバー1ブランドとして構築しようとする重要な計画の一環だ。そのためブー社長自らビナミルクのマイ・キエウ・リエン会長兼社長に会って買収話をまとめた。ブー社長は、市場シェアトップの先の目標として、ベトナム人1人当たりのコーヒー消費量増加を狙っている。現在は年間0.7キログラムで、世界平均の4~5キログラム、北米の12キログラムに遠く及ばない。
チュングエンは既に世界の約50カ国に進出し、ベトナムのコーヒーブランドとして知られているが、ブー社長は「ベトナムでナンバー1にならなければ消費者や国の支援は得られない。世界に進出するのはその先の話だ」として国内での事業を重視してきた。しかしいよいよコーヒーの本場米国で勝負を挑むことにしたようだ。米国のコンサルタント会社を雇って戦略を練り、彼の地での会社設立に向けて動き出した。チュングエン社の世界戦略は米国とシンガポールのオフィスが描くことになる。
ブー社長の最終的な夢は「中部高原地方ダクラク省をコーヒーの世界首都にする」こと。ダクラク省をグリーン経済特区にし、バンメトート市を「コーヒー聖地」とする。そうすれば世界中からコーヒーの信徒20億人が詰めかけるだろうという。多くの人が空想だと言うだろう。だがブー社長は7年でこの計画を実現すると本気だ。
チュングエン社はまた、ドイツでブルク・コーヒー焙煎博物館を買収した。この博物館の史料約1万点がダクラク省に運ばれ、「その日」に備えるという。ジェンス・ブルク所長は40年にわたって同博物館を運営してきたが、ブー社長に会いその夢を聞いて譲渡を決めたという。