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ホーチミン市観光局と同市情報通信局は17日、市民からの告発を受けて、南シナ海におけるベトナムの領有権を侵害する地図が印刷された観光ハンドブックを没収・処分した。
問題の出版物は、ホーチミン市人民委員会傘下の国内大手旅行会社であるサイゴンツーリスト(Saigontourist)に置いてあったもの。
同市在住のT・D・Hさんは15日、ツアーを予約しようと1区レタントン通りにあるサイゴンツーリスト本社を訪れた。その際に中国・湖南省の張家界市と鳳凰県行きのツアーを紹介され、約100ページあるベトナム語の観光ハンドブックを見せられた。
この出版物には「著者:張家界市観光対外委員会」と記され、張家界市や鳳凰県など中国の観光名所の美しい写真のほか、中国が南シナ海全域の領有権を主張するために地図上に引いている破線「九段線(牛舌線)」が描かれた地図が印刷されていた。
サイゴンツーリストによると、問題の出版物は9月上旬に同市で開催された「第15回ホーチミン国際観光フェア2019」で中国の旅行会社から提供されたものだという。
同社の責任者は「中身を確認せずに客に見せてしまった。今後は出版物の確認を徹底する」と約束した。当局は問題の出版物6冊を没収すると共に、同社に対して客に配布した分の回収を指示した。
ホーチミン国際観光フェア2019では、別の中国旅行会社が持ち込んだ出版物にも九段線が描かれた中国地図が印刷されていたため、同様に回収・処分されている。
こうした中、ホーチミン市情報通信局は18日、サイゴンツーリストに対して5000万VND(約23万4000円)の罰金を科すことを決定した。同局は「サイゴンツーリストの違反は極めて深刻であり、厳しく対処する必要がある」としている。