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農業農村開発省農産市場開発加工局が策定した、ヌクマム(Nuoc mam=魚醤)に関するベトナム基準(TCVN 12607:2019)の草案が、伝統製法でヌクマムを製造する業者から猛反発を受けている。
猛反発を受けて、同草案の審査を担当する科学技術省は12日の記者会見で、同基準の適用を先送りすることを明らかにした。農業農村開発省は今後、科学技術省と協力して業界関係者の意見を仰ぎながら草案を見直していく。
例として、草案には動物用医薬品や農薬の残留検査に関する基準が盛り込まれているが、これは不要かつ業者にとってコスト増にもつながると見られている。
「ハインフック(Hanh Phuc)」ブランドを展開するハインフック食品加工のグエン・クオック・フン副社長は、「伝統製法で製造するヌクマムは海に生息する魚(カタクチイワシ)を長期間かけて発酵させたもの。養殖に動物用医薬品や農薬などを必要とする淡水魚ではないため、動物用医薬品や農薬の残留検査を求めるのは不適切」とコメントした。
また、伝統製法で製造するヌクマムと、大量生産のヌクマムを区別する必要もあると指摘されている。しかしこれは、伝統製法による業者を不利にし、大量生産のメーカーが有利になるとして強く非難する意見もあがっている。
南中部沿岸地方ビントゥアン省ファンティエット市を本拠地とし、伝統製法によってヌクマムを製造している某業者の責任者は、「ヒスタミン含有量に関する基準にも問題がある。伝統製法で製造するヌクマムはいずれもタンパク質含有量が多く、ヒスタミン含有量も大量生産のヌクマムと比べて多い。ヒスタミンの多量摂取によりアレルギーを起こす可能性はあるが、1人当たりの毎日のヌクマム摂取量は非常に少ないため、アレルギーを起こすことは考えにくい」と述べた。