(C) laodong, トゥーさんと赤ちゃん |
ホーチミン市からハノイ市へ向かう南北統一鉄道SE8号の車内で14日午前0時30分ごろ、帰省途中の妊婦が産気づき、走行中にもかかわらず運転士の的確な処置により赤ちゃんが誕生するという出来事があった。
東南部地方ドンナイ省で工場労働者として働くブイ・ティ・トゥーさん(28歳)は、里帰り出産のために妊娠9か月で1人で鉄道に乗り、北中部地方タインホア省の実家に帰る途中だった。しかし、鉄道が南中部沿岸地方ダナン市と北中部地方トゥアティエン・フエ省を結ぶハイバン峠を登っている間に産気づき、破水した。
乗務員は車内放送で医療関係者の支援を求めたが、乗客の中に該当者がいなかったため、運転士のグエン・タン・タイさんは乗務員の助けを借りながら、見事に元気な女の赤ちゃんを取り上げた。鉄道はトゥアティエンフエ省フエ市の最寄り駅で停車し、トゥーさんと赤ちゃんはフエ市の病院に緊急搬送され、母子共に無事だということが確認された。
タイさんが鉄道の車内で助産婦さながらの活躍を見せたのは、実は今回が3回目。産科医の母を持つ彼は、戦争時代に軍の基地で母を手伝っていた経験から、助産の技術が自然に身に付いたという。ベトナム労働総連盟は、咄嗟の判断で妊婦と赤ちゃんを救ったタイさんの功績を称えるよう、ベトナム鉄道総公社(Vietnam Railways=VNR)に要請している。
なお、ベトナムでは航空サービスを利用する妊婦に対して搭乗を制限する規定があるが、鉄道サービスについては規定が整備されておらず、制限も設けられていない。