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- サムスン電子、米国輸出済みの在庫で対応
- 関税の影響を受けない工場の生産量増やす
- 米国で高価格帯の製品の消費増えると予測
米国によるベトナムへの46%の相互関税が発表されて以降、ベトナムに生産拠点を置く韓国企業は対応に追われている。
サムスン電子は、北部紅河デルタ地方バクニン省と東北部地方タイグエン省の工場で主に米国向けのスマートフォンを製造している。2工場で同社の全生産量の50%以上を製造しているという。まずは米国に輸出済みの在庫で対応するとみられるが、下半期に発売予定の新製品は相互関税の影響を避けられない見通しだ。
米国向けに家電を製造・輸出しているのが、サムスン電子とLG電子だ。両社は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で関税の影響を受けないメキシコ工場の生産量を増やすとしている。
このほか、サムスン電機(Samsung Electro-Mechanics)やLGディスプレー(LG Display)などの電子部品・ディスプレーメーカーも、世界各地の工場における生産量調整を検討している。
OEM(相手先ブランドによる生産)繊維メーカーのハンセ実業(Hansae)は、ベトナムに縫製品の製造や生地の加工・染色などを行う15工場を保有する。同社は2024年に買収した米国の繊維メーカーであるテキソリーニ(Texollini)による製造を拡大するほか、生産をエルサルバドルなどの中南米に分散させる計画だ。
一方、大手化粧品メーカーのアモーレパシフィック(Amorepacific)の関係者は、相互関税により「米国で高価格帯の製品の消費が増えるだろう」と予測する。米国に化粧品を輸出するベトナム以外の国にも関税が適用されているため、他社との競争という観点では従来と大きな変化がないとの見方だ。
ベトナム工場を保有する韓国企業の関係者は「ドナルド・トランプ米大統領は、関税を課すと言いながらその後猶予する措置を繰り返しているため、今は状況を注視している。ベトナムの代わりとなる地域での生産量を増やすなど、あらゆる方策を検討する必要がある」と述べている。