カンヌ映画祭でカメラ・ドール受賞、ファム・ティエン・アン監督

2023/06/04 10:23 JST配信

―――この映画の映像は欧米のメディアや専門家からも肯定的に評価されていますが、撮影監督であるディン・ズイ・フン氏とのコラボレーションはいかがでしたか?

(C) vnexpress、左:アン監督・右:ユン監督
(C) vnexpress、左:アン監督・右:ユン監督
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 私たちは子供のころからの親友で、ラムドン省(南中部高原地方)のバオロック市で一緒に育ったんです。2人とも、映画という共通言語で理解し合い、また仕事に対しても同じ観点を持っているので、困難や衝突はあまりありませんでした。シーンのレイアウトやカメラの動きは技術的な効果を濫用しないほうがよいので、実在の場所に基づく必要があります。私たちはあらゆるフレームでできる限りシンプルに、自然に表現するよう心がけました。

―――映画が完成した後、監督が最も実感したことはどんなことですか?

 友人でもある仲間たちと一緒に仕事をすると、自由な気持ちになりますし、お互いにたくさんの学びがあります。映画が完成して、仲間の何人かがこれまでのプロジェクトでは得られなかった知識や経験を私の映画制作の過程でたくさん得ることができたと言ってくれて、とても幸せでしたね。

 私からすると、誰にだって並外れたことを成し遂げられる独自の強みとエネルギーがあるんです。映画というのは、作る人たちが一緒になって情熱と力を捧げてこそ、成功できます。私たちは皆、アマチュアの作り手ですが、若さゆえの好奇心と、目新しいものを見つけたいという欲求が、私たちを力の限界まで押し上げてくれたと思っています。

―――困難に直面したときに監督を励ましてくれるのは誰ですか?

 妻ですね。彼女は映画のプロデューサーでもあり、映画の背景デザインも担当しています。技術や映像にこだわるあまり、時間と労力を費やすこともありましたが、そのときに彼女は、そういった要素に集中するよりも、キャストたちの映画に対する信頼を築くこと、そして演技についてフィードバックすることに時間を使ったほうがいい、とアドバイスしてくれました。

 妻はどんなプロジェクトでも私をサポートしてくれます。彼女は私と一緒に映画を作ったり、ロケハンに行ったり、脚本を書いたりするのが好きなんだそうです。妻は女性で、さらに韓国映画もよく観ているせいか、キャラクターの内面がよくわかっているな、と思いますね。

ファム・ティエン・アン監督プロフィール

南中部高原地方ラムドン省バオロック市出身。2014年開催の「48 Hour Film Project(48 HFP)」で第2位に立ったほか、2018年には短編映画「Cam Lang(The Mute)」がパームスプリングス国際短編映画祭で上映され、さらにスイスのヴィンタートゥールやフィンランドのタンペレ、香港など約15の映画祭にも出品された。7分間の短編映画「Hay Tinh Thuc Va San Sang(Stay Awake, Be Ready)」は2019年の第72回カンヌ国際映画祭の「監督週間」に出品され、イリー短編映画賞を受賞した。同作品はその後、釜山国際映画祭やロカルノ国際映画祭、シンガポール国際映画祭、ストックホルム国際映画祭、ミラノ国際映画祭、バンクーバー国際映画祭など、40余りの国際映画祭で上映された。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 00:39 30/05/2023, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 11月19日(日)から26日(日)まで有楽町朝日ホールとヒューマントラストシネマ有楽町で開催される「第24回...
 5月にフランスのカンヌで開催された第76回カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞した、ベトナム人若...
 5月16日から27日にかけてフランスのカンヌで開催された第76回カンヌ国際映画祭で、フランス越僑のトラ...
 5月にフランスのカンヌで開催される第76回カンヌ国際映画祭で、ベトナム人若手監督のファム・ティエン...
 第24回釜山国際映画祭(24th Busan International Film Festival=BIFF)が、10月3日から12日にかけて韓...
 5月14日から25日にかけてフランスのカンヌで開催された第72回カンヌ国際映画祭にベトナム人若手監督が...
 5月14日から25日にかけてフランスのカンヌで開催される第72回カンヌ国際映画祭に、ベトナム人若手監督...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
トップページに戻る