―――監督ご自身の「聖なる呼び声」について教えてください。
(C) vnexpress、左:アン監督・右:ユン監督 |
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大学を卒業して就職活動をしているとき、いつも迷いや孤独を感じていました。私が編集の仕事を選んだのは、技術的な要素と個人的な趣味のバランスを取りたかったからです。そこで、作品ごとに様々な感情を伝えたくて、結婚式の動画の撮影と編集を勉強し始めました。この仕事はオフィスワークよりもクリエイティブではありましたが、結局のところ自分のやりたいようにできるわけでもなく、お客さんの意見に合わせて修正しなければならないなどの制限があって、つまらなくなってしまいました。
そのとき、心の中の「呼び声」が私を映画の道に導いてくれたんです。映画の世界には制限がなく、具体的なルールも公式もありません。映画では、作り手が独自の世界を創造し、そこでキャラクターや感情、柔軟に変化する時間とつながることができます。短編映画をいくつも作るようになって、だんだんと自分が創造した世界に対してもっと誠実でいるべきだと気づくようになりました。それで、自分の人生と視点を映画に組み込むことにしたんです。
―――監督の作品のキャラクターは、自分が誰なのか、どこにいるのか、「方向性」がない人物が多いですが、「Ben Trong Vo Ken Vang」の主人公であるティエンもまた同じでした。なぜですか?
ティエンは、かつての自分を反映しています。友人との酒盛りが好きで、マッサージに行くのが好きで、結婚式の動画の撮影と編集に苦労し、友人を喜ばせるためにマジックをし、過去の恋愛が忘れられず、時に空想に耽り、過去の記憶に触れたくて故郷に帰る、そんな自分です。でも、私の映画のジャンルは自伝でも回顧録でもありません。私の個人的な経験は、状況が異なるだけで、多くの人と似ていると思います。
私の映画はリアリズムとシュルレアリスム、そしてファンタジーが混ざっていると言えるでしょう。ルイス・ブニュエルやタル・ベーラなどの多くの巨匠の作品を観て、これらの概念を知りました。
映画制作のインスピレーションは、自分のルーツへの愛から生まれます。今回の受賞作の中で、私はベトナムの社会における都市と現代、農村と伝統といった対比の表現に意図的に焦点を当てたわけではありません。私は南中部高原地方で生まれ育ち、勉強と仕事でホーチミン市に移り住みましたが、田舎と都会の文化的要素とライフスタイルを組み合わせると、地域のコントラストがごく自然に浮かび上がってくるんです。
私の目標は、映画を観る人が、それぞれの地域の文化や人々をより身近に感じ、キャラクターに寄り添ってくれることです。だからと言って、私の観点を観客に押し付けたいわけではなく、映画を観終わった皆さんが、それぞれ自由に答えを探してもらえたらと思っています。